一般社団法人安城青年会議所

第60代 理事長所信

一般社団法人安城青年会議所
第60代理事長 三浦 健

輝く魅力の醸成 ~ひととまちに付加価値を~

はじめに

 戦後、日本の経済は右肩上がりで成長して来ましたが、1990年代初頭に起きたバブル崩壊により、急激なデフレへ陥ると共に、リーマンショック、アジア各地の新興国の著しい経済成長もあり、国際競争力は低下し、現在に至るまで経済の長期停滞を余儀なくされています。また、将来において人口減少と超高齢社会による経済力の低下や財政上の更なる逼迫が懸念されており、ひいてはさらなる国力の低下を招きかねない状況にあります。さらに、地方から都市部への人口流出が進み、2040年には地方自治体の維持、存続すらあやぶまれる状況にあります。
そのような現状を踏まえたとき、「明るい豊かな社会の実現」を目指す私たち青年会議所会員は何をすべきか。それは、様々な問題解決に向けた運動の歩みを進めていき、マイナス要素を取り除き、そのうえで、ひとやまちに付加価値を付けることです。良い付加価値とはひとを引き付けます。つまり、良い付加価値がつけられたものは魅力的になるといえます。ゆえに、本年は「輝く魅力」をテーマに1年間活動を行い、次世代にバトンを渡していきます。

創立60周年

 2019年、一般社団法人安城青年会議所は創立60周年を迎えます。1959年、大きな志により全国で178番目の青年会議所として設立されました。以来、60年という長きに渡り、偉大なる先輩諸氏の高い志と弛まぬ努力と実績によって現在の安城青年会議所は存在をしております。私たちが今こうして何不自由なく青年の運動を展開できるのは先輩諸氏が時代や環境に即したまちから必要とされる運動を展開してくださり、組織の信用を得ると共に、行政や関係諸団体をはじめ、市民の皆様に期待される組織へと成長を遂げ、現在に至っているのであります。今日まで安城青年会議所の歴史と伝統のバトンを受け継いでこられた先輩諸氏に感謝と敬意を表すると共に、私たちはそのバトンを受け取る者として、次世代へしっかりとつなげていくことこそ最も大切なことではないでしょうか。
創立60周年という節目の年を迎えるにあたり、先輩諸氏やこれまでご協力いただいた行政や関係諸団体をはじめ市民の皆様に、感謝の気持ちと現状の安城青年会議所の魅力を安城青年会議所全員で示します。そして、未来へ向けての運動の方向性を確かなものとし、安城青年会議所の次なる運動の礎を築くことで、70周年、さらには100周年へとつなげて参ります。

魅力的な安城のまち

 私たちの活動の中心である安城市の人口は18万を超え、今も増加を続けています。また、自動車産業をはじめとする様々な企業に支えられ、好影響がまだ完全には失われていないまちです。さらに、安城七夕まつりを筆頭に堀内フェスティバルなどの大小さまざまなお祭りが行われ、生活に必要な物は何でも近くで揃い、公園など市の施設も整い、首都圏を含めた遠方への移動も新幹線や幹線道路が整備されており非常にスムーズと言えます。ここがとても住みやすいまちであること間違いありません。しかし、人口減少や少子高齢化に代表される時代の波は確実に迫って来ており、この恵まれた状態が未来まで続くとは限りません。人口減少や少子高齢化はまちの企業への就職者数を減らし、まちの購買力を低減させ、市の税収も低下させます。企業への就職数低下は生産性や競争力の低下を、まちの購買力の低下は飲食小売業の撤退を、市の税収低下は市民サービスの低下を招きます。このような中で、この安城が住みよいまちでありつづけるためには、人口が増え続ける魅力を持たなければなりません。そのために、ひととまちのつながりを作ることで愛着を創造し、市外へ安城の魅力を発信して興味を創造する必要があります。
日本の人口減少はすでに始まっております。今この瞬間から先頭に立ち、まちを引っ張っていかなければなりません。結果を恐れず、迅速そして果敢にまちづくりに挑戦していきます。

魅力的な青少年の心

 近年の日本はモラルや道徳規範の低下、犯罪の低年齢化が問題となっております。そこには、家庭の核家族化が進み、携帯電話やインターネットの普及で非現実の世界に触れる機会が多くなったことが原因だと考えられます。科学の発達により、ひとは豊かさや利便 性を追求して行くことは当然です。しかしながら生活を便利、効率的にした反面、まちで育ち、まちに育てられてきた子どもたちの教育環境を大きく変えてしまったといえるでしょう。結果として、まちにあった絆やひととのつながりが失われ、本来持ち合わせている日本人としての精神性や道徳心の希薄化が懸念されております。今、この問題に対し手を打たなければ、ますますこの問題は大きくなってしまうでしょう。本来持ち合わせている日本人としての精神性や道徳心は「武士道」に通じております。その精神は剣道や柔道などの武道に取り込まれているだけでなく、日本人の身体の芯には必ず宿っています。「礼に始まり礼に終わる。」この精神をひも解くことで、子どもたちの心の醸成を図ります。

魅力的な青少年の力

 科学の進歩は著しく起こっており、新たな常識や知識が今この瞬間にも発見され続けております。そのような中で、日本の教育システムはすべての国民が平等に義務教育を受けられ、識字率99%以上を誇り、世界学力調査PISAランキングでは上位を占め、教育 水準は高いものと言えます。しかしながら基本水準は私たちが幼少の頃とあまり変化はなく、新しい常識や知識に対応できているとは言えません。青少年の視点での科学というものに触れさせ、理解と興味を早い段階よりもっていただくことにより、青少年の可能性を広げることが必要であります。
また、現代の子どもの体力は低下の一途をたどっております。体力は人間の発達・成長 を支え、ひととして創造的な活動をするのに必要不可欠であります。したがって体力はひとが知性を磨き、知力を働かせて活動をしていく源であります。また、体力は生活をする上での気力の源でもあり、体力・知力・気力が一体となって、ひととしての活動が行われていきます。このように、体力は「生きる力」の極めて重要な要素となるものであります。しかし、現実には、子どもの体力は低下を続けており、子どもたちの健康への悪影響、気力の低下などが懸念されます。また、このまま子どもが成人した場合、病気になる者の増加や気力の低下によって社会を支える力が減少し、少子高齢社会となる将来の我が国の社会が沈滞してしまうのではないかと危惧されます。原因は時間、空間、仲間の減少にあります。私たちが率先して子どもに機会を与え、我が国の未来を作りましょう。

魅力的なリーダー育成

 冷戦後より始まったとされる第三次グローバリゼーションは、インターネットの発達という起爆剤を得て世界各国へ広がり、ヒト・モノ・カネが国境を越えて活発に移動するようになりました。これは中国を始めとする発展途上国の発展を後押しし、世界の産業レベルを飛躍的に向上させました。しかしながらアメリカのTPP脱退やイギリスのEU脱退など様々な要因で、グローバリゼーションは終焉を迎えようとしています。今までは他と均一化するために多様性を高める必要がありましたが、今後はローカルに対応するために他文化を認める必要があります。つまり、今まで以上に異文化を理解し、世界をマーケットに活躍できる魅力的な人財が必要であります。
現在の日本は経済的にも、物質的にもとても豊かになりましたが、恵まれた環境は当たり前の心を生み、周りへの感謝の気持ちを忘れることだけでなく、自ら抱える課題が見え難くなり、自ら考え前進していくことの弊害となっています。それは目の前にある問題の解決を遅らせるだけでなく、自分自身の成長をも妨げてしまいます。しかしながら、現代 の青年は、超高齢化時代や人口減少といった問題に直面をして解決をしていかなければなりません。そのような時代には、様々な場所で先頭に立ち、まわりを巻き込み、時代を切り拓く魅力あるリーダーが必要です。リーダーに求められているものは決断力と行動力です。いまこそ、勇気をもって前進し自ら決断をし、率先して行動できる力を醸成していく必要があります。
青年会議所の目指す「明るい豊かな社会の実現」のためにはまちのひとびとを巻き込ん だ活動が必要です。まちのひとびとを巻き込むためには、安城青年会議所会員が組織を統制することができる資質を身に付ける必要があります。身に着けるべき資質とは「心・技・体」であります。「心・技・体」が初めて使われたのは1953年に、柔道家の道長伯氏が、「柔道とは一体何か」との問いに対し「最終目的は心技体の錬成であり、それによって立派な人間になることである」と答えたときだと伝えられています。「心・技・体」は、柔道やスポーツだけでなく、経営や私たちの青年会議所活動にも言えることであります。「心」は志を、「技」は技術を、「体」は体裁、体力を表し、どれもがかけては大成を得ません。まずは私たちが資質を磨き高めることで、より一層強固なまちを築き上げます。

魅力的な会議所

 青年会議所の認知度はいったいどれぐらいあるのでしょうか。とある青年会議所の街頭調査では10%以下であったとの結果が出ております。青年会議所しかない時代から、青年会議所もある時代となった今、私たちの運動は終焉を迎えたのでしょうか。否、始まりであります。青年会議所とはどのような時代であっても対応をし、まちに必要な活動をしなければならない団体です。ならば、私たちは襟を正し、この状況を打開しなければなりません。市民が運動に参画していただくためにはまず私たちの存在を広く知っていただくことが必要です。
また、青年会議所の運動は、青年会議所が一歩目を踏み出すことで活動として動き出します。そして、多くの市民が参画することで効果が高まり、まちを巻き込み社会を変革する運動へと高まっていきます。そして、拡がりのある運動を展開するためには、組織が市民に頼られる団体となり魅力あふれる運動を作ることはもちろんのこと、その運動を効果的に発信する手段を確立し情報発信力を高めていかなければなりません。近年、様々な情報発信手段が台頭し、広範囲な情報発信が可能となりました。様々な情報発信手段を特色に合わせ使用し、広い広報活動を行います。
そして、強い組織には土台となって支えてくれるひとの存在が必要です。みんなが活動しやすい環境を作るために、自身がやってみたい事業ばかりでなく、まず組織を優先して担いを全うする役割です。大きくて強固な土台があれば、安心して自由で変化に富んだ事業へと挑戦できるはずです。今までの恵まれた環境に感謝し、これにより事業や活動が滞ることの無いように万全の準備を整えなければなりません。
さらに、安城青年会議所は近年の拡大が成功した結果、3年未満の会員が6割を超えております。しかしながら、会員数が増加しても烏合の衆では運動の動きは遅くなり、活動の効果が薄くなります。つまり、拡大に成功した意味がなくなってしまいます。安城青年会議所が組織として円滑に活動するためには、委員会のみだけでなく、会員全員の意思疎通ができなければなりません。私たちが共感し合い、相互に信頼して更なる結束を固めれば、まちづくりを進める力を10倍にも100倍にもすることができるはずです。

魅力的な会員拡大

 会員拡大は安城青年会議所の源であり未来であります。会員数の増加は、「明るい豊か な社会の実現」への運動の加速度となるだけでなく、会員が他者より様々な考え方を学ぶ 機会となります。そして、想いを伝承する会員がいるからこそ、安城青年会議所がこれからも存続できるのです。全国の会員会議所で会員数の減少が問題視されている中、安城青年会議所は4年間連続で会員数が増加しました。しかし、過去を振り返ると、安城青年会議所の全盛期には130名を超える現役会員が所属しておられました。まだ、半数に達したところであります。安城市には3000を超える会社が在り、経営者が存在しております。この中にはまだ安城青年会議所を知らない方、活動に興味をもっていただける方が必ず存在しています。本年は魅力的な交流会を行い、100名青年会議所という魅力を手にするために活動を行います。

おわりに

 「為せば成る為さねば成らぬ何ごとも成らぬはひとの為さぬなりけり」
これは江戸時代に財政破綻寸前から財政改革に成功した米沢藩主 上杉鷹山の言葉です。青年会議所の運動も「できるか、できないか」ではなく、「やるか、やらないか」です。とにかく全力で最後までやって、青年会議所活動を全力で楽しみましょう。
また、青年会議所の運動は会員数で伝達力や影響力が大きくなります。事業が魅力的になる付加価値の中に、「楽しい」があります。本年はまず、会員全員が参加したいと思える楽しい事業を行うことで、たくさんのひとに参加いただき、ひととまちに付加価値を付けていきましょう。
失敗は付き物です。自分から能動的に手を出し、一歩前に進み出ていきましょう。安城を変えるのは俺たちで、きっとうまくいくのだから。